質問:学際研究についてのレポートはありますか。

from: numasan 2013年04月15日 01時08分 質問中 コメントする
学際研究について,調査研究したレポートがあれば教えてください。
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カテゴリ:その他

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from: numasan (質問者) 2013年04月15日 01時12分
学際研究
タイトル Facilitating Interdisciplinary Research
学際研究の促進
http://www.nap.edu/catalog/11153.html
発行年月日 2004
発行者 Committee on Facilitating Interdisciplinary Research, National Academy of Sciences, National Academy of Engineering, Institute of Medicine

Facilitating Interdisciplinary Research
学際研究の促進

(以下は,遠藤悟ホームページより)
Facilitating Interdisciplinary Research  学際研究の促進
本報告書は、ケック財団の支援により米国アカデミー学際研究促進委員会(Committee on Facilitating Interdisciplinary Research)が行った学際研究に関する調査検討結果をまとめたものである。本書の構成は、1.学際研究のヴィジョン、2.学際研究のドライバー、3.産業・国立研究所における学際研究、4.大学の研究者と学際研究、5.大学はいかにして学際研究を促進できるか、6.ファンディング機関はいかにして学際研究を促進できるか、7.専門家学会の役割、8.学際的な研究・教授のアウトカムの評価、9.新たな学際的な構造に向けて、10.得られた知見と提言、の10章から成っており、学術研究機関における学際研究の振興について、対象をその研究当事者である研究者や学生の問題に限定せず、大学運営やファンディング機関の役割なども含めた幅広い検討が行われている。

本書の冒頭には、学際研究は「科学的好奇心により導かれることもあれば実用的必要性に導かれることもある」ということが示されている。多くの場合、学際研究は社会における実用的必要性が契機となると説明されるが、本報告書においては伝統的研究分野におけるそれと同様の科学的好奇心もまた学際研究を創出する契機とされている。そこには伝統的「純粋科学」も研究ツールの開発等により新たな研究分野へと転換していく姿が見てとれるが、このような幅広い学際研究の対象設定がその評価手法において社会的実用性といった新たな基準とともに科学的卓越性など旧来の基準を併せ持たせる必要性があることも示されている。

このことは、企業の研究所や国立研究所と大学との性格の違いといった点にも反映している。すなわち、企業の研究所や国立研究所における学際的な研究活動は、解決を必要とする問題の発生に従い設置され、その解決により終結されるという性格があり、学術研究においても参考となると述べられているが、これらの研究は実用的必要性に導かれるものであり、科学的好奇心により導かれる学術研究とは(研究者マインドとしては一致することがあっても)基本的に性格を異にするものである。従って大学における学際研究は実用性と知的好奇心という必ずしも一貫しない二つの特性を併せ持つことを認識して行われなければならないということも本書により理解される。

本書は、このような学際研究の多面的な性格を示すことにより研究者、学生、大学運営者、政府関係者など、幅広い層における学際研究に対する理解を深める助けとなるとともにその促進のための施策(資源配分、評価、リクルーティングなど)について様々な示唆を与えるものと言える。

本ホームページ筆者は作業時間の関係で全文に目を通してはいないが、「要約」において内容が適切にまとめられているため、そこに示された「得られた知見」の各項目(全文)と「提言」に記された各事項を以下にまとめた。

得られた知見

定義

1.学際研究は、基礎的な理解を増進させたり、単一の学術分野や研究遂行領域を超えた問題を解決させたりするため、二つまたはそれ以上の分野や専門知識の集まりから情報、データ、テクニック、ツール、見通し、概念を統合させる研究チームあるいは個人による研究の方法(モード)である。

現状

2.学際研究は、方法や焦点(フォーカス)において複数形である。それは、個人により実施されることもあればグループにより実施されることもある。また、科学的好奇心により導かれることもあれば実用的必要性に導かれることもある。

3.学際的思考は四つの強力な「ドライバー」-自然や社会における本来の複雑性、単一の分野に限定されない問題や疑問の探索への欲求、社会的問題の解決の必要性、新たな技術の力-の結果としての研究の統合的な特徴を持つ 。

4.成功した学際研究者は、分野的な奥行きを、関心・構想・技能の広がりを統合・総合させる方法とともに見出している。

5.学生、特に学部学生は、学際的教科、特に社会関連の教科に強く関心を寄せている。

6.学際研究グループの成功は、機構的関与と研究リーダーシップに依存する。明確な構想と効果的なコミュニケーションとチーム構築能力が分野の統合を引き起こすことができる。

克服すべき問題

7.学際研究の特性はそれを支援しようとするファンディング機関に特別な問題をもたらす。学際研究は一般的に協働的で異なる背景を持つ人々が参加する。従ってそれは合意や新たな手法、言語、文化の理解のために追加的な時間を要する場合がある。

8.社会科学研究は学際研究を成功させるための複雑な社会的、知的プロセスについて十分な知見を獲得していない。これらの手順のより深い理解が成果ある学際研究事業の創造と運用の可能性を更に高める。

必要な変化
9.分野を強化することと学際的研究、教育、訓練のバランスを取ろうとする試みは、多くの機関において雇用、昇進、資源配分を支配する伝統や政策により妨げられている。

10.科学工学の高まる専門化と分野間交流は、学際的な作用を促進するための新たな組織形態と修正・更新された構造を必要とする。

11.専門家学会は近年の研究の発展、カリキュラム、計測評価、アクレディテーションの優れた報告書を作成し、学会間の連携を構築し、学際学術誌や分野毎の学術誌の特集号を刊行し、分野による手法、言語、文化の相互理解を促進することにより学際研究を促進させる機会を持っている。

12.信頼できる学際研究教育プログラムの予見的(prospective)および回顧的(retrospective)評価の手法は、ピアレビューにおいて関連する分野における専門性を持つ研究者に加え、学際的専門性を持つ研究者を含めるという修正が求められる。

企業の研究所・国立研究所から得た教訓

13.企業の研究所および国立研究所は学際研究支援において長い経験を有している。大学と異なり、企業の研究所・国立研究所は所属する研究活動が示そうとする問題により組織される。問題が生起し終結するにつれ、組織の設計も同様に生起し終結する。

14.産業と政府に設けられた研究マネジメントは大学のそれに比べより「トップダウン」となっているが、そのいくつかの教訓は大学の学際研究戦略に有益な形で組み入れることができる。

15.大学、産業、政府の間の協働的な学際研究連携は急速に増加し多様化している。そのような連携が未だ大きな障壁に直面しているとは言え、優れた研究結果は双方の研究における利益とその多様な文化をもたらす効果について強固な証拠を示している。

「提言」に記載された事項

(本報告書の各章においては、検討結果に基づく提言が含められているが、以下は各提言に記された事項である。)

学生

・学部学生は複数分野や社会問題を取り扱う学際研究の経験を求めること
・大学院生は専攻に加え必須となる知識を拡大させること

ポスドク

・ネットワーキング会合や学外インターンシップなどを利用し学際的経験を積むこと
・学際研究に好意的な機関やメントーを見出すこと

研究者・教員

・学際的な研究、教育トレーニングにおいて協働する者の言語、文化、知識の中に自らを没頭させること
・他分野出身のポスドク研究者を雇う場合はそのポスドクに新たな分野の知識を教授し知識と技術を獲得させること

教育者

・学部学生、大学院生、ポスドクに対して学際的な教育、トレーニングの機会を与えること

大学における政策

・企業、政府機関、非政府機関との共同プログラムの開発など、学際研究の障壁を低減・除去する政策を開発強化すること
・上記に加え企業や国立研究所における学際研究事例を参考にするなどして学際研究の革新的な実験を行うこと
・学部における研究機会、教員チームによる教育単位、学際研究マネジメントトレーニングなどを通して学生、ポスドク、研究者、教員に対する学際教育・トレーニングを支援すること
・学際研究を支援する公正で柔軟な予算・経費分担政策を開発すること

チームリーダー

・学際研究チームのリーダーは、早い時期から見込まれる共同研究者と協力すること
・チーム内のそれぞれの研究参加者の貢献や利益において適切なバランスが取れるようにすること

ファンディング機関

・ファンディング機関はそのプログラムや手順において、学際研究がリスク、機関の形態、時間の面で直面する特殊な問題を認識し考慮すること、
・政府機関間共同活動を含むファンディング機関は学際研究・教育と関連するメカニズムを提供し研究者・教員の訓練機会を広げること、
・ファンディング機関はその申請評価基準を学際研究に適するよう定期的に評価し必要に応じて変更すること、
・議会は、連邦政府研究機関が学際研究の進行と強固な分野研究との間の適切なバランスについて注意深くなることを奨励すること

専門家学会

・学会、出版物、特別なイニシアチブなどにより学際研究を促進する機会を探求すべきこと

学会誌編集者

・編集委員、特集号・特集記事などのメカニズムを通して学際研究の出版を促進すること

学際研究の評価

・学際研究プログラム・プロジェクトは分野の創造・出現、社会的問題に対する実用的解答といった学際研究の特徴的基準と研究の卓越性といった伝統的分野の基準との適切なバランスにおいて評価されること
・学際的な教育・トレーニングプログラムは、通常の基準に加え、学生数とその混合程度や知識獲得といった学際研究に関する基準により評価されること
・ファンディング機関はその申請評価メカニズムにおいて学際研究・教育・トレーニングに対する十分に幅広く奥深い評価の専門性を備えること
・米国アカデミーの博士課程プログラムの評価など、研究機関・組織の比較評価においては、単一の研究科に加え、複数の研究科による学際研究についても含められること

大学の組織構造

・伝統的な組織構造を越えて設けられる学際研究を行う代替的運営構造とビジネスモデルを探求すること
・高いレベルの大学運営機構は研究科・学会によるものに加え、学際分野組織に対して資源配分を行うこと、また、その資源配分は固有の知的価値や社会的問題への対応により行われること
・大学院学生から教員の雇用に至るリクルートメントは研究科や学科を越えた形のものが含められるよう改めること
・教員の雇用やテニュアの決定における伝統的な手順や基準はより学際研究特有の価値を十分に配慮されるよう改められること
・学際研究を成功に導く社会科学、人文、情報科学に基づく複雑な社会的・知的なプロセスの研究の継続が必要であること
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